幼稚園のときからお互いに家を行き来している拓馬は、そんな俺の初恋事情を知っていた。
そして、カオルさんのこともよく知っている。
「落ち着いたら遊びに行かせろよ。俺も
ひさしぶりにカオルさんき会いたいし」
拓馬がニヤニヤ笑いながら言う。
「カオルさん、きっと今も美人だろうなぁ」
拓馬は独り言のように上を見上げて言った。
だが、その声の大きさで俺のことをからかっているだけだということが明らかに分かる。
俺は拓馬を横目で睨んだ。
でも、カオルさんのことで一つ思い出したことがあって、俺はすぐに拓馬を睨むのを辞めた。
「そりゃぁ遊びに来ればいいだろうけど、一つ気がかりなことがあるんだよなぁ」
「何だよ?」
不意に真面目な顔つきになった俺を見て、拓馬が首を傾げる。



