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朝目覚めると、大きな音をたててお腹が鳴った。
昨日の夜もまともに食べなかったせいで、どうしようもなく空腹だった。
私は制服に着替えると、スクールバッグを肩に掛けて階段を下りた。
そのまま無言で出かようとする私を、いつものようにあの女が追いかけてくる。
「奏葉ちゃん、お弁当」
私はそう言って弁当の袋を差し出してくるあの女に一瞥を投げた。
毎日毎日、私に弁当袋を差し出してくる彼女。
最近ではそれを無視することすら何だか面倒くさくなっていた。
だからと言って、彼女の差し出す弁当を受け取ることは私のプライドとママが許さない。
「そわ。ちゃんとメシ食えって言っただろ?」
いつの間にか隣にやってきていた真宏が、あの女の手から弁当袋を奪い取って私に差し出す。
真宏が差し出した弁当袋からは、おかずのいい匂いが漂っていた。



