私にそう問いかける春陽の声の調子が、何だか不自然だった。
気になって首だけを春陽の方に傾ける。
すると、妙に真剣な顔をした春陽と目が合った。
「何?」
思わず、そう尋ねてしまう。
「お姉ちゃんって、まぁ君のことどう思ってるの?」
「は?」
春陽に真剣な目で尋ねられ、私はぽかんと大きく口を開けた。
だが、春陽は真剣な目で私を見つめたままだ。
「まぁ君、お姉ちゃんが夜に出て行ったら追いかけたり、この間も髪の毛を切ったお姉ちゃんのこと抱きかかえて助けたりしたじゃない?だから、どう思ってるのかなと思って」
そこまで来て、私はようやく春陽の言わんとしていることを理解した。
つまり、春陽は真宏のことが好き。
そういうことなのだろう。
そのことを理解した瞬間、茉那の顔が思い浮かんだ。
春陽は私なんかより、茉那の存在の方をもっと重視すべきだと思う。
だがそんなことを言えるはずもなく、私は小さくため息をついた。



