「聞いたよ。学校で倒れたんだって?大丈夫?」
春陽が下から私の顔を覗きこむ。
私はベッドに横たわったまま、春陽に少し笑いかけた。
「うん、もう平気」
私の声を聞いた春陽が、安堵した表情でにっこりと笑う。
「そっか。それなら良かった。おかあさん、心配してたよ。それから、さっき帰ってきたパパも」
春陽が“おかあさん”と言うのを聞いて、ほとんど反射的に私の眉間に皺がよる。
それに気付いた春陽が、小さく肩を竦めて苦笑した。
「ごはん、ちゃんと食べてないからだよ。まぁ君もさっきそう言ってた」
「へぇ」
私は寝返りを打つと、床に座ってこちらを見上げている春陽に背を向けた。
春陽や父、そしてあの女に何を話したのか知らないが、真宏の余計なおせっかいぶりに腹が立った。
放っといてくれと言っているのに……
「ねぇお姉ちゃん」
床に座り込んだままの春陽が私の背中に呼びかける。
返事をしないでいると、春陽が勝手に言葉を続けた。
「今日、まぁ君がずっとついててくれてたんでしょ?帰りも一緒に帰ってきてくれたんだよね?」



