保健室でパンとジュースを一気に腹に入れた私は、真宏に連れられて家に帰った。
家に帰ると、心配そうな顔をしたあの女が私達を玄関まで出迎えてくれた。
「お帰りなさい、奏葉ちゃん。まぁ君。ごはんできてるわよ?」
あの女の言葉を無視して階段を上がる。
その背中を、真宏に睨まれているような気がした。
メシだけはちゃんと食え。
そう言った真宏の言葉が胸に何度も甦る。
でも、私は何度も頭を横に振ってその言葉が聞こえないフリをした。
今までずっとあの女の食事を避けてきたのに、今さらどんな顔をして彼女の作った料理を食べろと言うのだ。
部屋に戻りベッドの中にもぐりこんでいると、部屋のドアを誰かがノックした。
「お姉ちゃん、入るよ?」
春陽がその声と同時に部屋のドアを開ける。
春陽はそのまま部屋に入ると、私のベッドのすぐ傍に来て床にぺたりと腰をおろした。



