半分くらいパンを食べ終えた頃、真宏が紙パックのジュースにストローを挿して私に差し出してきた。
「高校生なんてまだまだ子どもだ。図体ばっかり大人に近づいてるくせに、一人じゃ何にもできないんだよ」
ジュースを差し出しながら、真宏がさもわかったような顔で言う。
「カオルさんと一緒に暮らしたくないとか、カオルさんのメシが食いたくないとかっていうお前の気持ちは理解はできないけど、全くわからなくもないよ。だけど、お前はまだまだ子どもで、子どもは大人の保護が必要なんだ」
差し出されたジュースを受け取る。
そのとき、真宏が私の目を真剣な顔付きで見つめた。
「だから、ちゃんと一人で自立できるようになるために必要なことだと思って割り切って、メシだけはちゃんと食え」
真宏が言っていることは尤もだと、頭の中ではきちんと理解できた。
でもだからといって心まで同時に動かすことは難しい。
私は真宏から視線を反らすと、手にした紙パックのジュースを一気に飲み干した。
あまり一気に飲みすぎて、少し苦しかった。



