「実はカオルさんは真宏の初恋の人なんだよ。な、真宏」
「えーっ!?」
その瞬間、同時に上がる茉那と春陽の叫び声。
「拓馬!!」
そして、怒りを含んだ真宏の怒鳴り声。
「もういいじゃん。昔のことだろ」
怒る真宏を拓馬がポンポンと軽く叩く音が聞こえる。
「そっか。でもカオルさん美人だもんね」
「おかあさんには絶対勝てない……」
私の後ろで、彼らはあの女の話で盛り上がり始める。
私の部屋であの女のことに触れないで。
私は耳を塞ぎたくなるのを必死で堪えながら、目の前に広げられた参考書をじっと睨んだ。
早く終われ。
早く終われ。
参考書を睨みながら、唇をぎゅっと強く噛み締める。
机の下で手の平を強く握り締める。
全身を緊張させ過ぎたためか、意志に反して肩が小刻みに震えた。
早く、終われ――……



