きらいだったはずなのに!


「元カレって、ほんとなの?」


 悠斗の言葉を確認するように聞いてくるミヤコちゃんに、返事もできなかった。


 だって、口を開いたら泣いちゃいそうだったから。


 今だって、ぐっと奥歯を噛み締めて、涙が溢れるのを我慢してる。


 悠斗のことなんかきらいだって言い聞かせて、忘れたふりをしてきた。


 もう傷つきたくないから、悠斗とは会わないようにしようって決めたのに。


 だけど、会っちゃったから。


 悠斗に未練があるわけじゃないけど、あの時言われた言葉でできた胸の傷は、いつまで経っても癒えてくれないんだ。


 好きな人に言われたショックな言葉。


 悠斗の彼女なんだっていう自信がグラついていた時に聞いたから、余計にダメージが大きかったんだと思う。


 心の引き出しに鍵をかけて、閉じ込めてきたいろんな感情。


 悠斗にこうして会って、それがいとも簡単に開けられそうになってる。


 ……怖い、かも。


「ねえ、元カレってもしかして……って、茉菜!?」


 一粒の涙がこぼれ落ちそうになった瞬間、ミヤコちゃんがなにかを話そうとしたけど、あたしはふたりに背を向けて思いっきりダッシュで走った。