きらいだったはずなのに!


 不安そうな顔のミヤコちゃんに“大丈夫”という意味を込めて笑ってみたけど、引きつってうまく笑えなかった。


 あたしの後ろにまだ“あいつ”が立っていることを気配で感じ取って、大きく深呼吸をして振り返った。


 だけど。


「は……?」


 あたしの視線の先に立つ男をしっかりと目に入れた時、あたしの口をついて出たのは、呆れを含んだようなたった一文字の言葉だった。


「やっぱり、茉菜だった」


 そう言って瞳を細める目の前の男は、確かにあたしの知っているやつだった。


 あたしの苦い思い出を作り出した張本人なのは確かだけど。


 なんか、違う。


 だって、全然こんなんじゃなかった。


「ゆ、悠斗、だよね……?」


 話すつもりも会うつもりもなかったのに、あまりに驚きすぎて気がつけばそんなことを口走っていた。


 ちょっと待って、嘘でしょ。


 これって本当にあの悠斗なんだろうか。


 そう疑うくらいに、中学の頃と今目の前にいるこいつが違いすぎて信じられない。


 衝撃的すぎて、さっきまでの嫌な緊張感も、激しく脈打っていた胸もいつの間にか落ち着いてしまっていた。


 代わりに芽生えたのは、なんでこんなふうになったのかっていう疑問だけ。


 もはやきらいだとか関係ない。


 あたしにとっては、目の前のこいつの姿が破壊的すぎて、それしかもう頭にない。