きらいだったはずなのに!


 だってさ、表の顔でいるってことは、彼女さんはあの人の本性知らないで付き合ってるわけでしょ?


 騙されてるってことだよ?


 あたしといる時なんか、口は悪いし態度はでかいし、結構バイオレンス。


 それとも、それを知ってても、彼女は桐島さんと付き合ってるのだろうか。


 なんだか、そんな桐島さんの彼女を見つめる横顔が悠斗と重なって見えて、どうしようもなくいらいらした。


「茉菜? どうしたの、大丈夫?」


「え、あ、うん。大丈夫だよ」


 ぼーっとしてたみたいで、ミヤコちゃんに心配されちゃった。


 これから数十分後に桐島さんと会うわけだけど、なんだか気分が乗らない。


 テストだって、桐島さんがそこの部分を重点的に教えてくれたから良い点数を出せたわけで。


 早く結果を教えたいって、ついさっきまでそう思ってたのに、無性に会いたくない。


 絶対に、今のを見たせいだ。


 前を向いてさっき桐島さんと女の人がいた場所を見ると、ふたりはもうどこかに行ってしまったようで、そこにはいない。


 さっきまですごくおいしく食べていたクレープも、なんだか急に味がしなくなってしまった。