きらいだったはずなのに!


 全力で首をぶんぶん振って遠慮するけど、桐島さんがその手を引っ込めることはない。


「や、これそこそこ安もんだし。それに時計なら学校に付けて行ってもいいだろ? ちなみにそれ、俺が大学受験の時に買ってからずっとつけてるやつ」


 だから多少は勉学のご利益もあるかもよ?なんて笑いながらあたしに言う。


「でも、やっぱり申し訳ないですよ……」


「俺が茉菜に持っててほしいって言っても?」


 そう言った桐島さんはなぜかきらきら王子様モード。


 この桐島さんにはいつまで経っても慣れなくて、あたしは困っちゃうんだ。


「じゃあ、借りるってことにしておきます」


「それでもいいよ」


 そう言って桐島さんが笑うから、ほっとする。