今度こそ「じゃあな」と手を振って帰る後ろ姿の桐島さんを見ながら思う。


 こんな日が来るなんて思ってなかった。


 きらいだったものや、人を、こんなに好きになれる日があたしにやってくるなんて。


 どんどん小さくなっていく桐島さんの背中を見ながら、この日々がどうか長く永く続いていきますようにと心の中で呟いた。