きらいだったはずなのに!


「そうやって俺はずっと、おまえに振り回されるんだろーな」


 しょうがないなと言いたげな顔で、桐島さんはまたあたしの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。


「じゃあ、また来週な」


 名残惜しいけど、もう夜も遅い。


 だけど離れていく手が寂しくて、咄嗟にその手をとってぎゅっと握った。


「……だから、そういうかわいいこといちいちするなって」


 その言葉と甘い表情にあたしはもうノックアウト寸前だ。


 それでも、どうしても約束してほしいことがあって、引き留めた。