きらいだったはずなのに!




 仕事へ行く準備をしているお母さんを呼び止めて桐島さんと付き合うことになったと報告したら、お母さんはあたしが想像していた以上に喜んでくれた。


 桐島さんは頭を下げてなんか小難しい言い訳?みたいなのをお母さんに言っていたけど、付き合ってすぐに桐島さん自身から話したことがよっぽど印象がよかったのか、お母さんは終始笑顔だった。


 「責任取れないことはしないでね」とお母さんに念押しされていた桐島さんは、「肝に銘じます」なんてかしこまっていた。


 過度なスキンシップは禁止だと桐島さんにもお母さんにも諭されて、それがなにを意味するのかやっとわかったあたしは、桐島さんがやけに「お触り厳禁」だと言っていた理由もそこでわかって赤面した。


 しない、しない。だってまだ心の準備ができていないし。


 ハグとかちゅーは、したいけど。


 なんやかんやあったけど、報告は円満に終わって幸先がいい。