きらいだったはずなのに!


 思い返せば、桐島さんは付き合ってくれるとは言ったけど、好きとは言ってくれてないもんね。


 あたしのことをかわいいって思う気持ちも、まだその程度なんだろう。


 悲しいけど。


 ……でも、これから好きになってもらって、いつか桐島さんをメロメロにしてやるんだから!


「それだけじゃないって言葉で言わないとわかんないやつが、これから俺と付き合っていけんのかよ」


 内心で闘志を燃やしていると、そんな言葉が聞こえてきた。


 それを言った本人の方を見るとやっぱり照れたようにそっぽを向いていて、もうそれだけで十分伝わってしまった。


「桐島さんって、案外子供っぽいとこありますよね」


「おまえにだけは言われたくない」


 そうやってむすくれちゃって、かわいいところもあるんだなあって愛おしく思った。