きらいだったはずなのに!


 べりっと勢いよく剥がされて、ちょっとだけショック。


 あたしってそんなに魅力ない?


 肩を落としてしょげていると、桐島さんは観念したように言葉をこぼす。


「はあ……。かわいいから、取り返しつかないことしたくないんだよ。ただでさえ未成年と付き合うってだけで結構まずいことしてんだからさ」


 気恥ずかしそうに前髪をかき上げる仕草に、胸がぎゅんってすごい音を立てた。


「かわいい、ですか? あたしが?」


「何回も言わせんな」


「桐島さんが飼ってたわんちゃんに似てるから、かわいいんですか?」


「まあな」


「あはは、ひどっ」


 結局あたしは犬扱いかいっ!


 ……でも、かわいいって言われるだけマシか。