きらいだったはずなのに!


「とりあえず、あっちの広いプールの方行くか」


 桐島さんの言葉にみんな賛同して、プールサイドを歩きだす。


 先を歩く桐島さんの隣りを自然な感じでキープできて、少し離れた後ろにはミヤコちゃんと悠斗。


 このつかず離れずな距離感が無性に照れくさくて、だけどさっきの桐島さんの言葉を思い出すとちょっぴりむかついて、えいっと軽く彼を殴ってみた。


 唐突なあたしの攻撃に驚くこともなく、「痛いなー」なんて棒読みであたしが殴った場所をさする仕草をしている桐島さんだけど、その顔はやっぱり意地悪な笑みを浮かべていた。


「つーか、水着似合うじゃん。ピンクが一番おまえに似合うと思ってたけど、そういう大人っぽいのもいいな」


「そ、そうですか……?」


 依然として近い距離のまま、普段より声を落として桐島さんがそう言った。


 外向けの王子様モードじゃなく、あたしにだけはいつも通りの態度。


 それってなんだか特別みたいで、少しだけ嬉しい。