きらいだったはずなのに!


 いきなりすぎるでしょ、いくらなんでも。


 というか、信じられない。


「驚いた? 桐島さんはね、あの有名大学の四年生なのよお!」


 興奮気味に話すお母さんにドン引き。


 なんでもこの桐島さんという人は、この辺でもかなり有名な難関大学の四年生、二十二歳。


 お母さんは今日担任からあたしがオール赤点をとったと電話で聞かされて、すぐにカテキョ依頼したらしい。


 よくもまあそんな優秀な人に、こんな急なのにカテキョ引き受けてもらえたよね。


 それにしてもお母さん、機嫌よすぎ。


 イケメン好きなのはわかるけど。


 たしかにかっこいいし爽やか系イケメンだけど、この笑顔とか超胡散臭い。


 絶対裏があるって。


 ……っていうかカテキョか。


 あたし、放課後みっちり鬼補習の予定を担任に入れられたんですけど。


 まさかの補習終わりにもまた勉強?


 勉強漬けのスタディーライフ?


 ……マジで、死ぬ。


 絶望的だよ、本当に。


 でも、このお兄さんに勉強教えてもらったからといって、この超バカなあたしの成績が良くなるのかすら疑問だし。


 愛想つかされて、カテキョやめるとか言い出すんじゃないのかな。


 うん、ありえる。


 だって、あたしの成績ってそのくらいボロボロだし。