「じゃあ、ずっとここにいるのもあれだしそろそろ帰るわ。ちゃんとそれ目通しとけよ」
「わかってますってば……!」
「悠斗も、またな」
そう言ってから桐島さんは、あたしの頭をこの前と同じように犬みたいにぐりぐり撫でた。
それがほんの少しだけ嬉しくて、言葉にはできないけど、顔に出てたのかな。
桐島さんが少し意地悪気な顔をして、口元を上げている。
「しっぽぶんぶん振って、犬みたい」
「……っ! だから、あたしは犬じゃなーいっ!」
そう吠えるあたしに声を出して笑いながら、桐島さんは踵を返した。
その背中はみるみる小さくなっていって、ほんの少しだけさみしい。



