あの後ナオは…

視線は合わさずに、アタシに会釈をして
帰ってった。




「…さっきは、
ありがとうございます」

「なんが?」



優しいな、セージさん…

とぼけてくれて…



「つっか、未練アリアリだな〜。

それで事務職に戻って来たんだな?」



オイっ!

そこストレートだな!
オブラートに包めよ!



「けど状況的に…
瀬戸さんがフったんだと思ってたけど、

違うのか?」


どんな状況だよ…

「違います…」



「ふ〜ん…

だったらさ、俺が協力してやんよ」



え…?

「なんで、セ…社長が?」


「そーだな…

気まぐれ?

ま、その方が瀬戸さんも助かるんだから、甘えとけ?」



それは…

ありがたいけど…



ナオにとっては、迷惑なんじゃ…


「そー浮かない顔すんなって!

尚もさっきは、テンパっただけだって」


そー言って、頭をポンポンするセージさん。