だけどオレは、それでも咲陽を気持ちごと取り戻す。必ず…



何を犠牲にしても守るし…

何を差し置いても助ける。



そんなオレに…

「どーしてもナオの事忘れらんなくて…」


信じられない言葉が…

縋るような潤んだ瞳が…



思考を、

心臓を、


時間を止めた…!



理性なんか、ブッ飛んだ…




唇を奪って、
その合間に見つめた咲陽は…

あの頃と同じ照れくさそうに、切なげで、たまんないふうで…



オレを壊す。




重ねた唇から伝わる愛。


狂おしいほどの愛しさに支配されて…

貪るように、唇から咲陽を欲した。




それは当然のごとく…

報いの刃となった。






「どーゆー事スか!?誠治さん!!」


井出工務店から請け負ってた案件が、
作業開始直前に打ち切られた。


「悪いな、他んとこに頼む事にした」

「それ、ルール違反じゃないスかっ!?」


誠治さんは呆れたようにため息をついて、睨むようにオレを見つめた。

「ルール違反はどっちだよ?」


どーゆー意味だ?まさか…


「S公園での事、山本(現場監督)が見てたぞ…

ずいぶん恥かかせてくれたな?」