「ステキな人ね…

ねぇ、母さんちょっとお礼が言いたいんだけど、電話してくれない?」


突拍子もない提案に軽くテンパった。


「いーって、そんなの!」

もう別れてんだし、
いきなり親から電話あったら引くだろ!


「ダメよ!
親として、ちゃんと筋通さなきゃ。
さ、早く電話して」


勘弁してくれよ!恥ずかしい…

「お礼ならアタシが伝えとくから!」


「まったく…

今まで散々 心配かけといて、親の頼み
ひとつも聞けないの?」


それを言われると…



「咲陽、諦めろ!
母さん、言い出したら頑固だろ?」

と、逆フォローの親父に…


「お礼くらい、いんじゃない?」

と、更に逆フォローのマユキ。



マジかよ…!


12時半…まだ昼休憩か…



「あーも!わかったよ!」

ヤバイ…緊張する…




「あ、ナオ?今ヘーキか?

あのさ…

っと…今 実家に帰って来てんだけどさ…

母さんがお礼言いたいっつってて…
ごめん、
イミフだけど代わっていーかな…?」



ナオのOKをもらってケータイを渡すと、母さんは話しながら席を外した。