それと同時に通路を挟んで隣に座っていた薗田さんが、私の隣の席に座りに来た。


「横いいですか?」


私は、窓際に詰めて座った。


「僕、笹倉さんの名前書いたんですよ。二回とも」


「え?」


「もっと話したかったのにな…」


「ありがとうございます」


「名刺貰ってくれます?」


薗田さんは、名刺を取り出し裏にスマホの番号を書いて渡してくれた。


「あ、はい」


すると、ぞろぞろ女性たちが、後ろの座席に移って来た。


「薗田さんこっちで話しましょうよ〜」


と女性たちに呼ばれている。


「ご連絡お待ちしていますね」


そう言って、薗田さんは女性たちのところに移動した。


私は、すぐに櫻子さんの隣の席に移動した。


「全部、聞こえていましたよ」


「本当ですか?恥ずかしい…」


「どうするんですか?」


「どうするも何も、私、何も知りませんし…」


「けど、番号は知ってしまいましたよ」


「そうですね。どうしましょ?」


「ご自分で考えてください。寝ます。着いたら起こしてくださいね」


「櫻子さ〜ん…」


私は、どうしていいかわからないまま、名刺はしまっておいた。


薗田さんは、私の理想のタイプそのままの人だった。


私の理想のタイプ…
自分より背が高く、のっぽさんと言わない、年上で、自分自身を見てくれて、趣味が合う人。


今のところ完璧…


でも、何か違う気がするのはどうして?