桃から生まれなかった桃太郎

「かあさんなのか」

太郎は、小さな声でつぶやきました。

こんな風にあっけなく、会えるとは思ってもみませんでした。

かあさんは生きていた。

周りには誰もいない。

さあ、太郎。

かあさんと叫べ。

太郎だと名乗れ。

迎えに来たと言うんだ。