「なんでキスなんてしたんや？」
―――なんでって････。
「かわいかったから･･･つい・・・」
健一は俯いて、小さな声で言った。
―――あの時の表情と言葉がかわいくて我慢できへんかったんや。
「くくく･･･ははは・・・」
「佳祐、笑うなよ！」
「だってよ･･･ははは･･･健一、おもろいなぁ」
健一の気も知らずに、佳祐は腹を抱えて笑っていた。
―――そんなに俺が余裕をなくしたのが面白いか？
「で、どうしたらいい？」
「はぁ？知るかよ」
―――はぁ？俺を助けようとしてくれたんじゃないんか？
「なぁ、健一。岡崎ちゃんのこと好きなんやろ？」
―――そんなにストレートに聞かれても・・・。
健一は、何と答えたら良いかわからず、黙ってしまった。
「かわいい表情されて理性がぶっ飛ぶくらい好きなんやろ？」
―――全部見透かされている。こいつに何を隠しても無駄ってことか・・・。
健一は、佳祐には正直に言おうと思った。
「・・・好きや」
―――あいつのことがやっぱり好きなんや。
「『じゃあ、素直に謝れば？」
「許してくれるか？」
「それはお前の努力次第」
そう言うと佳祐は、いつもの笑顔で健一の肩を2回叩いた。
―――謝るって言ってもなぁ･･･。
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