暗闇の中をしばらく進むと、夜がしらじらと明けてきた…

じょじょに、周りの様子が分かるようになってくると、国も存在せず人も住まない、砂地とサンゴ礁が広がる海底が現れはじめた。

かつて栄えた王国があったとは思えぬほど、その面影は何もなく…宮殿が建っていたと思われる場所に、土台や柱の名残があるだけだった。




「…良くいらして下さいました、陛下…現状をご報告します…」

目的地にたどり着くと、先日から結界のために現地入りをしていた、魔法騎士の一人が編制隊を出迎えた。

「ご苦労様です…どうなっていますか?」

「率直に申しまして、限界ギリギリの状況です。早く封じないと、この辺り一帯が白化する恐れがあり、かなり広範囲に結界を張っている状態です…」

「想定内だ、フィル…いちいち固まるな。早速、封印の解除を行う…段取りは魔法騎士隊長のジーンに聞いて、進めてくれ」

イースがそう指示を出すと、全員配置に着いた。