「......そう。
さっきの呪文、自分で考えたの?」


「もちろん!
あれ考えるのに一週間はかかったんだ」


「苦労して考えたとこ悪いんだけど、実戦じゃ役に立たないよね?

それに、宇宙人は生け捕りが原則でしょ?
その何とか神剣ってやつも、殺傷力ありすぎて使えないよ」



一週間って......。
長い間かけて考えたみたいだけど、呪文詠唱や変身するのを待ってくれてるのはアニメや漫画の敵くらいだと思う。

現実にやってたら、親切に待ってくれてるわけもなく、その間に攻撃される。たぶん。



「だからだよ。
実戦では使えないから、訓練中だけでも使っておきたい。
せっかく考えたんだから、使いたくなるだろ?」



本気でダメだ、この人。
歯を見せてにかっと笑う彼を見て、もう千明には何も期待しちゃいけないと悟る。


敵はどの程度の強さなのかも分からない、もしかしたら疑似生命体の一番強いレベルよりもずっと強いのかもしれない。

そんなプレッシャーの中で、世界各国から集められた100人くらいいる他のサイキックたちは必死で訓練してるというのに。

羨ましくなるくらいにお気楽な千明。


こんなのでも、日本チームのリーダーだというのだから、日本の未来が心配になる。