「出でよ!光明神剣!」



息を切らしながら疑似生命体の相手をしているとようやく、千明は呪文と同じくこれまたイタイ名前の、ゲームの勇者が持っていそうな西洋風の剣を手から生み出す。


それを私が相手をしていた方の疑似生命体の背後から振り下ろしてから、すぐに体勢を変えてもう一体を切りつける。


一体目は縦に、二体目は横に真っ二つに切られ、たった二振りで、私が一体でも苦戦していた疑似生命体を千明は倒してしまった。


胴体を真っ二つに切られた緑色のそれは、ゼリー状にドロドロと溶けて、排水口に流れていく。

この排水口は疑似生命体の研究室に繋がっていて、使用不可能になった物体を再び疑似生命体に作るためのもの。

つまり、このゼリー状の物体は何度もリサイクルされるらしい。


ドロドロと流れていくそれを見届けてから、いちいちかっこつけている千明の方に視線を向ける。



「ありがとう、助かった。
だけど、もう少し早く助けてほしかったな」


「申しわけありません、プリンセス。
ヒーローは遅れてやってくるものなのです」



その方がかっこいいだろ、と何とか神剣を持ってポーズをとっている千明。

一瞬本気で張り倒したくなったけど、仕方ないよね、千明だし。