「今日から、旅行できたの。
そっちは?ケニアで何の仕事してるの?」



怪しいけどいきなり席を立つのも気まずいので、警戒しながらも、質問にひとつずつ答える。


日本人に会うのが久しぶりだと言ったので、旅行者じゃなくて現地に住んでいるのだと予測して。

外見からは私と同じくらいの年齢に見えるけど、ケニアで何の仕事してるんだろう。



「仕事?よく聞いてくれた!

何を隠そうこの俺は、美しい女性たちを守る正義のヒーローでっす!」


「......へぇ。
ようするに無職、ね」



キラキラした笑顔で、戦隊ヒーローが決め台詞を言うようにビシッとポーズまで決めたイケメンに、冷たく言葉を返す。

無職なのは、私も人のこと言えないんだけど。


正義のヒーローって、やっぱり怪し過ぎる。

まさか本当に何かと戦っているわけでもないだろうし、少なくともヒーローは自分から名乗らないと思う。

しかも、美しい女性しか守ってくれない正義のヒーローとか嫌だ。


人に言えないような仕事なのか、言いたくないのか分からないけど、どっちにしても関わっちゃいけないタイプの人なのは間違いない。