ようやくまた静かになると安心していると、最後尾のアジア系の医者がドアを出る前に振り返り、私をジロジロ見る。

嫌な......感じ。



「ふん......、せいぜい役に立ってほしいものだな。
どのような能力者だとしても、我が国の誇るリンレイの方が優秀に決まっているが」



リン、レイ......?
優秀とか聞こえた気がするけど、リンレイって誰なんだろう。

分からないことだらけで嫌になる。
英語が得意だったら、もう少し話についていけたのに。



「全く、困ったものだ......」



イヤミなアジア系医師が出ていって、今度こそ本物の静寂が訪れ、御堂先生がため息をついた。

御堂先生も人間味があまり感じられない人で私にとっては怖いんだけど、医師というか研究者の中でも浮いてるのかな。

派閥とかあるのかな......。
この研究所の人たちも、全員が協力しあってるわけじゃなさそう。
そんなことで大丈夫なのかな。


地球の平和を守れと言われているのに、大人たちの権力争いみたいなものを早速見せられて、この先が不安になるよ。

ただでさえ、不安なのに......。