「どうして、生きられるのに悩む必要がある。
生きられなかったやつもいるんだ」



一度目線を外し、私に向かってと言うよりも一人言のように言われた言葉は、英語能力が低いせいでよく聞きとれなかった。

けれど聞き返すより先に、彼は話を続けた。
今度は再びブルーの目でこちらを見つめて、私に向かってはっきりと。



「生きるための方法も、死ぬことも嫌なら、一体どうしたいんだ?

迷っている時間なんてないし、自分で決めなければ誰も助けてなんてくれない」


「それはそう、だけど......」



何も間違ったことは言われてない。
確かにこうしてる間にも、どんどん時間は過ぎていく。


だけど、日本語よりもストレートに感じる英語表現のせいか、その言葉にカチンときた。

それでも言い返す英語力も、気力もない私は結局何も言えないのが悔しい。



「It’s up to you.」


「え?どういう意味?」



何も言い返せないでいたら、理解出来ない言葉だけを残して、彼は出ていってしまった。


いったい何しにきたの?
最後の、どういう意味だったんだろう。


わざわざイヤミを言うために、この部屋まできたの?
なんか......、感じ悪い。

せっかくかっこいいと思ったのに。