懐かしく思って、女の子の頭を撫でていると、女の子が私の後ろを見て、突然笑顔になった。



「せんせー!」


「せんせー、こんにちは!」



先生......?

女の子に続いて、他のこどもたちも声をそろえて元気よく挨拶したのを聞いて、期待に胸が高鳴る。


鼓動が早くなるのを感じながら、そっと振り向くと。



「あ......」



ブルーの目に、金色の髪。

その人を見た瞬間に胸がいっぱいになると同時に、足の力が抜けてその場にしゃがみこむ。



「おねえちゃん、どおしたのー?」



女の子の心配する声に何も言えず、なんでもないよという意味を込めて、ただ首を横に振る。


座り込む私に、金色の髪とブルーの目をもつ彼はゆっくりと近づいてきて、手を差し出した。


私は何のためらいもなく、その手をつかむ。


どんな強風が吹いても、また闇の中に迷いこんでも、今度ははぐれないように。

この命あるかぎり、もう二度と離れないように。


しっかりと、その手をつかんだ。




         【完】