うつむいて唇を噛みしめていると、また千明が私の頭の上に手をおく。



「ま、あいつの言ってることも分からなくないけどさ。

この赤ん坊が大きくなってから、どう思うかはこいつしか分からないことだよ。

奪う必要もない命まで奪わなくてもいいと、俺は思うんだよね」


「うん......」



そっと私の頭を撫でる千明。

自分の考えが足りなかったのかとなんだか泣きそうになっていたから、余計に千明のまっすぐで温かい言葉が胸に染みる。



「何かあったらそんときはそんときだ。
俺が何とかするから、気にすんなよ!

俺は優しい美菜が好きだ!」



まだうつむいている私の耳元で大声で叫ばれて、バシッと右肩を強く叩かれる。

それと同時に肩ににぶい衝撃が走った。



「いたっ!
肩けがしてるんだけど!?」



ごめんごめんと明るく笑う千明を私も叩き返す。

いつのまにか自然と笑顔になっていて。
さっきまでの重い気持ちが嘘みたい。


私よりも千明の方がずっと優しいよ。
千明、ありがとう......。