泣いても笑っても、時間だけは待ってくれない。


月に着陸して、不安を抱きつつも宇宙船から降りる。


目の前に広がっていた光景は、人類が初めて月に行った時からは、およそ想像もできないようなものだった。


辺りはどんよりとして薄暗いけれど、薄手のトレーナーでちょうど良いぐらいの過ごしやすい気候。

いたるところにある木々に、草原が広がっている。


地球とそんなに変わらない......?


だけど、これは......。



「なんだか、全然......発展してないね......」



同じ宇宙船に乗っていた日本人に話しかけると、彼女もすぐに同意する。



まるで、縄文時代や旧石器時代みたいだ。

私も縄文時代に生きていたわけじゃないし、その時代に詳しいわけじゃないから、イメージだけど。

それくらい私の生きている時代とは遥か昔にタイムスリップしてしまったみたいな光景。


見渡す限りでは宇宙人もいないし......。


月の防護網や、地球にウイルス攻撃する技術があるくらいだから、もう少し発展しているものかと思ったのだけど......。