「あのさ、千明.......」


「ん?」



千明に人造サイキックの秘密を聞こうとして、やっぱりやめる。


辛い過去があっても、どこまでもまっすぐな千明。

いいや、千明にどんな秘密があっても。


千明は私を信じて過去を話してくれたんだ。
探るような真似はよそう。



「ううん、がんばろうね」


「おう!」



明るい声で返事をして、千明は私の手に指を絡ませる。

私もその手を強く握り返した。


千明の、みんなの願いが叶いますように......。



「なにしてる?」



しばらく無言で見つめあっていると、突然車のドアが開いて、ブレットと目が合う。



「別に~?
口説いてただけ。
ブレットの彼女じゃないんだから、俺がアピールしても自由だよな?」


「アキ......」



千明はおどけたように言うけれど、ブレットの表情は対照的に固くなる。


気まずい......。
なんで一人で帰ってきたのか気になるけど、ネリはどうしたの?と聞ける雰囲気じゃない。