地球を守って!恋するヒーロー

千明はひとつため息をついてから、それから何かを思い出すようにゆっくりと話し始める。



「五年前、まだこの研究所が出来る前。
俺の母さんは......、月からのウイルスによる病気で死んだんだ。

それからだな、俺と父さんの関係が悪くなったのは」



五年前というと、まだ中学生だよね。
千明が中学生の時に、千明のお母さんも私と同じようにウイルスに......。



「許せなかったんだ。
医者のくせに、自分の妻の病気は治せないのかって憎んだよ。
あいつの都合で生まれ育った日本も離れて、ケニアにきて、それで母さんは病気にかかった。

ケニアにさえ来なければ......って、俺は母さんが死んだのを全部あいつのせいにした。


母さんが死んだ後に、親父はウイルスの研究を始めて、研究所を作ったけど......。
今さら遅いんだよ、もう母さんはいないのに、ってな」



自嘲するように笑う千明に、なんて声をかけていいのか分からなかった。



「今だったら、分かるのにな。
ケニアにきたせいで母さんが病気にかかったわけでもないし、医者だって全ての病気を治せるわけじゃないって。

あの時の俺には、分からなかったんだ」



千明......。
そうだよね、きっとその時の千明は悲しくてやりきれなくて、お父さんを憎むことしかできなかったんだ。

私だって同じ立場なら、そうしてしまうかもしれないもの。

なんでお父さんは病気の人を助ける仕事をしてるのに、お母さんを助けてくれなかったのって。