信じろって言ったって......。



「能力者たちは生きたいと強く願うことで、生きる力を得ることができる。
自分を信じなさい」



生きたいという気持ち......。
最初に会った時もそんなようなことを言ってたっけ。


御堂先生を信じなさい、じゃなくて、自分自身を信じろというところが、なんともまた先生らしい。



「分かりました、心にとめておきます」



納得したような、納得してないような複雑な気持ちで返事をして、診療室を出る。



「もう話は終わった?」



診療室を出ると、すぐ目の前に千明が待っていてくれていた。



「うん......。
千明は御堂先生と話さなくていいの?」


「俺はいいよ、話すこともないし。
それよりみんな待ってるから、早く行こう」



少し困ったような顔をして、視線を泳がす千明。


無事に帰ってこれるかも分からないのに、千明も御堂先生もこれでいいのかな。

でも、千明がいいって言ってるなら、私が口出しすることじゃないよね。



「うん!」



頷くとすぐに笑顔になった千明と、並んで歩く。