ブレットは何も言ってくれないし、考えてみたら本人に直接私のヒーローだなんて恥ずかしいこと言ったかな。


急に恥ずかしくなってきて、一人で赤面していると、ようやくブレットが口を開いてくれた。



「ミーナが助けに行きたいと言ってくれなかったら、俺には言い出すことはできなかった。
......ありがとう」


「え、あ、うん。
一応任務外だしね、そりゃ言えないよね」



本来なら私が間違ってるんだし、と苦笑いしながら落ち着かない足でうろうろしていたら、足元の丸い実にすべる。


うわっ、あぶない!


床にぶつかるのを覚悟して、目をつぶったけど、予想した衝撃はこなかった。

前のめりに倒れた私をブレットが受け止めてくれたから。



「あ、ありがと。
あの、ブレット......?」



温かい体とたくましい腕の感触にドキドキしながらも、いつまでたっても離れる様子がないので、そっとブレットの顔を見上げる。



「時々分からなくなるんだ。
何を優先すべきかを」


「えっ?
それは私たち寄せ集めの集団で、軍人じゃないし......。
すぐに自分の感情を捨てて、任務に徹することができる人も少ないんじゃない?

こんな特殊な状況だし、色々悩むことも......って、あの......」



やっぱり表情を曇らせたままのブレット。

どういう意味で言っているのかいまいち把握できないまま必死で答えるけど、上手く頭が働かない。


こんな抱きしめられたままで、冷静に話なんてできないよ!