何も変なことを言ったつもりはないのに、サングラス越しでも分かるくらいのブレットの笑顔が曇っていく。



「約束したからな、ヒーローになるって。
だけど俺は、望んでいたヒーローにはなれそうにもない」


「......どうして?」



私の問いかけには答えず、ブレットはただうつむくだけ。


ブレット......。
私には誰と何のために約束をしたのかも、どうしてヒーローになれないって思っているのかも分からない。

でも。


抱きしめていた女の子からいったん体を離し、ブレットに近づき、下から見上げる。



「そんなことないよ!
だって、ブレットは私に生きる力をくれたヒーローだよ。
私の、ヒーローだもん。

だからそんなこと言わないで......」



精一杯訴える私を、ブレットは何も言わず、そのブルーの目で見つめる。



「ブレットがどんなヒーローを想像してるのか知らないから、なんとも言えないけど......。

あっ、でも!今日こどもたちが助かったのはブレットのおかげだよ。
私だけじゃ、間違いなく助けられなかった。

だから、あの......」



無言で見つめられて、どうすればいいのか分からなくなり、早口で話を続けるけど、それでも反応がない。