ネリの言ってることは分かるんだ。


私たち軍人とはまた少し違うけれど、ある意味組織の秘密を守らなければいけない立場で。

上の人の命令は絶対だし、人権なんてあってないような特殊な世界。


それぞれがどんなことを思っていても、誰と誰がどれだけ仲が良くても、そんなことはトップの人たちにとっては何の意味も持たない。

だから......、敵対する派閥の人を警戒するのも当然のこと。


けれど私は一人の人間としては、ブレットを信じたいし、特別な感情を抱きはじめていた。

そうしたところで何も良いことなんてないだろうに、それでも私を守ってくれた彼に。


信頼というよりももっと別の......、ううん今はそんなこと考えてる場合じゃない。

まだ能力を使いこなせないくせに、と慌てて頭に浮かんできた考えを振り払う。


ふう......。

ネリは常にガラス張りのトレーニングルームの外を警戒している。

別に閉じ込められてるわけでもないのに、なんだかすごく窮屈だ。

ピリピリした空気。  


トレーニングルームの空気が急に薄くなったような気がして息苦しくなり、そっとため息をついた。