町は今日もいつもと変わらぬにぎやかな風景。
ここは港のある町で船も休憩の場として休みに来る。
一般の客船、そして海賊船までも。


ただしこの町には海賊が攻め入ることは絶対にない。
ここは船を休めるには最後の町。


ここを失えば次にある港はかなり遠いのだ。
だから海賊も間違っても侵略することはしない。



「う~ん。」



港に行けばたくさんの船が止まっていた。


私は妹に調べてもらった客船を探す。




「え・・っと、女神像・・女神像・・。」




正直私と妹は港に来たことが一度もない、所謂世間知らず。
どれが客船で海賊船なのかもいまいち区別はついていない。

だけどふたりで書物をあさってわかったことは、この町に来る客船の船首には女神像が着いていることだけだった。




- - -あったわ!




私の目の前にはウェーブのかかった女神像が祈りながら佇んでいた。

急いで船に乗り込むと、そこには誰もいない。
客船のわりには部屋というものも一切なく、甲板には酒の入った樽が並べられている。



- - -変ね・・買い物にでも出掛けたのかしら?



私は無事に船を見つけられた喜びと、ティム兄さんを探しに行ける安堵からか、樽の隅でからだを丸めて眠りについたのだった。