スッと、どちらからともなく離れた。




あたし達は、最後にと、微笑みあう。










「さよなら」

「じゃあな」



どちらからともなく背を向けた。






真っ直ぐに前だけを見据えて、一回だけ深呼吸をして――



―――走り出した。







あたしは一度も、後ろを振り返らなかった。










『また、また、絶対に、私に会ってくださいね。

抱きしめて、くださいねっ・・・。』




それは、あたしがまだ“あたし”でないときに結んだ、遠い遠い昔の・・・

愛する人との、約束だった。





―END―