とある中学の、三年六組の教室。
生徒達は席に座って、担任の話を聞いていた。
静華は頬杖をつきながら話を聞いていて、翼は欠伸をしながら聞いていた。


「では、入ってきて下さい」


担任の声に合わせて、春奈が教室の戸を開けて入ってくる。
担任は黒板に、『長山 春奈』と書き、春奈の紹介をする。


「転入生の長山春奈さんです。長山さんはお父さんの仕事の都合で、長い間ずっと海外にいて、国内の友達が全くいないそうなので、皆さん仲良くしてあげて下さいね。では長山さん、自己紹介をお願いします」


翼は眠そうに、ボーッと担任と春奈を見ていた。
突然、翼の脳内に、誰かが持っている、マシンガンが浮かんだ。
翼は驚いて、春奈を凝視する。


「……趣味や特技は特にありません。日本は……赤ちゃんの時以来です。宜しくお願いします」


そう言って、自己紹介を終えた春奈は頭を下げた。
生徒達は、一通り春奈に拍手する。
翼は拍手をせずに、春奈を見ては、首を捻っていた。


「では長山さんの席は、廊下側から二列目の、一番後ろの席になります」


担任は春奈に、静華の後ろの席を指し示す。
春奈は担任の言う通りに、席に移動した。





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