「いってらっしゃーい」


奈々の笑顔に見送られて、
俺は仕事場へ向かった。


車で約25分のところに
俺の勤務している病院はある。


車を走らせてしばらくしてから、
今日は当直で帰れないことを奈々に伝えていなかったことに気づいた。


病院の駐車場に着いたところで
車のエンジンだけ切ってメールをする。


『ごめん、言い忘れた。

今日当直で帰れないから、
ご飯用意しなくて大丈夫。

なんかあったらすぐ連絡な。』


奈々は今日は夜勤じゃないはず。

夜、一人で寂しがるかな。

一人部屋でしょんぼりする奈々が浮かんできた。


しかし仕事は仕事。

返信の様子が気になるが、
気持ちを切り替えて車を下りた。