「奈々、しっかりしろ、奈々!」
顔色はさっきよりは良くなったものの、
奈々の意識は未だに戻らない。
これはまずい。
俺はファイルで仰ぎ続けながら、
先ほど俺と入れ替わりに仕事に入った横田に電話した。
『…、はい、俺だけど、どした?』
横田はツーコールくらいで出てくれた。
「奈々が家で倒れてた。
多分熱中症だと思う。
タイミングみてそっち行くから、
用意しておいてもらえるか」
横田は一瞬遅れながらも冷静に答えた。
『…わかった。
万全の用意して待ってる』
電話を切り、
保冷剤の様子を見ると、もう溶けてあまり意味をなしていない。
困った。
「…っ」
俺はとっさに、奈々を風呂場に連れて行った。
