「また嫁のことでも考えてるのか?」


自販機の前でぼんやりとしていた俺の前にひょっこり現れてきたのは横田。


「うるせぇな」


「おいなんだよいつにも増して不機嫌だな」

全て分かってるとでも言いたそうな顔で横田は言った。


「お前がそんな顔してる時なんて、大体は奈々ちゃんのこと考えてる時だよ」



こいつ、
人のこと分かったように言いやがって。


…待てよ
横田は昨日、当直ではないはず。

もしや
もう今日の担当が出勤してくる時間なのか?


時計を見る。

午前7時。

気づけば
そろそろ俺も上がれる時間だ。



「お前のシフト、俺と入れ替わりか?」


「なんだよ。
顔に帰りたいです、って書いてあるぞ?」