思い出に浸りながら心をドキドキさせていると、もう辺りは真っ暗。
真上にある街灯だけが私たち二人を照らしている。
もう帰らないといけない...
「やな、もう帰ろっか...」
本当はこんなこと言いたくないけど、ずっと一緒にいるわけにはいかない。
明日には、またあの病院に戻らないといけないんだ。
「うん。」
やなが頷いた。
最後に思いっきり抱きついた。
「美穂、寒い?」
七月なのに十一月かなっていうぐらい寒くなってきてる。
「寒いよ...でもやなとこうしてると温かい...」
ずっと抱きついていたい、ずっと...ずっと...
また、涙が出てきちゃう...私、こんなに涙もろくなかったのに...

