2014-02-19- pm.11
担当:咲滝

「今晩は。」

カランカラン。

店の扉を開けて現れたのは、微笑みを浮かべる女性だった。

見た目からすると、20代前半と言ったところか。

ぐるりと店内を見回した後、小首をかしげて店員を見た。

「少しの間、お邪魔してもいいかしら?

笹口玲奈、と言います。」

カウンターの奥には一人の青年。

「おう、歓迎するぜ」

カウンターから一度出て、椅子を引いてやり相手を座らせる。

その後、自分もカウンターに戻って店員に備えられている席に着いた。

「玲奈サンっつーの?美人じゃん。」

ニッ、と笑ってカウンターに頬杖。

玲奈も歓迎の言葉にクスリと小さく笑みを溢した。

「あら、口がお上手ね。」

おもむろにメニューを取って一通り目を通すも、すぐにそれを置く。

「何か飲み物を用意してくださる?

貴方のお勧めが飲みたいわ。」

「お勧めね…」

咲滝はそれに一瞬考える素振りを見せるも、すぐに思いついたようだ。

「んじゃ、ジンジャエールとかどうよ?

外から来たんだもんな、体冷えてんじゃん?」

玲奈はそれを聞いて微笑む。

咲滝はそれを肯定と捉えたようだ。

手早くジンジャエールを作って、テーブルに置いた。

玲奈はそれを見やり、

「気が利くのね。」

と一口飲む。

じんわりと広がるその味を確かめると、その香りに表情を緩ませた。

誉め言葉と玲奈の表情を見て、

「どーもっす。」

と顔を綻ばせる咲滝。

素直に嬉しかったらしい。