こんな良い人が本をぶつけるような事するわけないよ……! やっぱり天使だ!




少し私も疑ってたし、恥ずかしい。






「ありがとう、深瀬さん……」


「なんて言うと思ったか、バーカ」






深瀬さんから笑顔が消え冷たく睨まれると、一瞬で涙もひいたけど。






「えっ? ば……か?」


「そう、バカでしょアンタ。相沢優希も言ってたでしょーが、恋愛は戦争だって。恋は奪ってなんぼ!! 奪われて炎上!! 言うならばそうねぇ〜、本能寺の変みたいな? 下克上されて燃え盛る炎のような恋もあるんだから!!」


「それ、どういう意味ですか……?」






急に豹変して叫び始めた深瀬さんに驚きながら尋ねると、余裕そうにニヤリと笑われる。






「洸ちゃんもね、所詮男でしょっ? 彼女がいたって、こっそり付き合える女を求めるよ?」


「藤崎君に何かするつもりですか……?」


「えへへ。内緒!」






相変わらず可愛らしく笑って。





(……怖い。女って怖い。私も女だけど……)