そして、今度は抱きしめられた。

『俺、転入した時から、るりの事知ってた。
 桜の下で、辛そうな顔でため息ついてたのが忘れられなかった…
 俺にるりの事、守らせてくれない?』


随分といきなりな申し出だった。


全ての人に拒絶されてる感覚に捕らわれている今、この申し出はとても魅力的なものだった。

でも、私は今まで、葉山の事をまともに見ようとした事は無かった。


そんな状態で、甘える事なんて出来ない。

それこそ、葉山ファンに殺される…


「あんたのファンを黙らせて、私がまともに学校来れるようになったら、考えてあげてもいいわよ。
 でも、こんなずぶ濡れになってる女に告るなんて、葉山も案外、センス悪いのね☆」


そう笑いながら返した。

そして葉山に背を向け、改めて、


「バイバーイ!」


そう手を振って、学校を後にした。